『剣の神・剣の英雄 タケミカヅチ神話の比較研究』(大林太良/吉田敦彦 著)を読みました。私の印象:△


要はこう 戦に特化した神話とか神格とかって大陸中のすみからすみまで共通してるみたいよ! と、そういうことみたい。
日本の神話に出てくる剣神は「タケミカヅチ」「フツヌシ」「アメノヒボコ」「ヤマトタケル」(「スサノオ」は?)。印欧語族スキタイでは「アレス」(ギリシア系神様)「バトラズ」(ナルト神話の英雄)。ゲルマン諸族では「シグルズ」(ドじゃないの?)、ケルト族ではアーサー王の伝説がある。アルタイ系諸族(モンゴルとか朝鮮とか)にもなんか共通項が見られる。

タケミカヅチ、フツヌシ神話の特徴
 1、鍛えられた鉄剣の表象
 2、石から生まれた剣
 3、川に生まれた剣
 4、天に住み必要なときに天降る
 5、直立
 6、雷神
 7、竜蛇神
 8、青年戦士集団の神
 9、軍事的機能、主権とは別
 10、動物が導く
 11、剣と運命をともにする英雄

ところでこのバトラズが、クルダレゴンの鍛冶場で焼きを入れてもらった事件を物語る話には、もう一つわれわれの注意に値すると思われるモチーフが見出される。それは彼の鋼鉄の身体を熱するために、普通の炭はまったくなんの役にもたたず、バトラズ自身によって殺された竜蛇から造られた炭が用いられねばならなかったと言われていることである。つまり、この鉄剣神的英雄が不死身の身体に完成されるためには、竜蛇の寄与が不可欠であったとされているわけで、これは本書中で大林氏が、タケミカヅチの誕生神話における鉄剣鍛造の過程にも、クラオカミやクラミツハら竜神的存在の関与が見られると指摘されているのと、明らかに吻合する。(p193)



デュメジルはインド・ヨーロッパ語族の間に古く共通して、彼が「三部イデオロギー」あるいは「三機能体系」と呼ぶことを提唱している世界観と、それに基づく思考と分類の基本的枠組みがあり、彼らの神話もそれに則って構成されていたことを明らかにしている。つまり人間の社会が理想的には、祭司=主権者と、戦士との二種の職能的身分から成る支配者と、その支配に服し保護を受けながら食糧と富の生産に従事する庶民とから成り立つべきものと考えていたインド・ヨーロッパ語族は、この三分類の原理を宇宙の全体にも当て嵌め、世界はそのあらゆる局面において右の三身分の人間社会における働きと対応する力あるいは原理が、不断に協働することによって維持され運行されると観念していた。そして彼らはこの三分法的原理を当然、彼らが崇敬した神神にも及ぼし、神界にも、人間社会で祭司=主権者の演ずる役割と対応する、デュメジルが「第一機能」と呼ぶことを提唱する宇宙原理を代表し行使する神々と、戦士に対応する「第二機能神」たちと、生産者=庶民に対応し数においてもっとも多数の「第三機能神」との、三種の神々が区別されると見なしていたのである。(p207-208)