『軽いめまい』(金井美恵子 作)

『軽いめまい』(金井美恵子)を読みました。私の印象:△

「何一つ劇的なことなどおきなかった三十何年かの人生を、時には物も考えるし、あれこれ悩んだり感動したり発見したりしながら、なんとなく生きて来た女の人が、軽いめまいのようにして感じる、それほど特権的でもなければ、存在や魂の深部にとどくというほどでもないのだけれど、ふと、事故や記憶をなまなましい名付けようのない、けれども、かけがえのない何かとして感じる瞬間について、書いてみようと思った」(あとがきより)

一文が長く長く続くこの文体は音楽のようで心地よくまきこまれる。最後はカオスでジェイムス・ジョイスの何だっけ何かみたい。折り込まれた細かいモノ語りがわかりすぎておもしろい。買わなきゃいけない気がして買ったエピ、とか。すごい。
この「特権的」でない感じ、ささやかな苛立ちや焦り、劣等感、は確かな実感をともなって身につまされるけれど、だからといって作者の言う「かけがえのない何か」は伝わってこなかったなあ。挿入されてる写真展評もよくわからない、要るの? 楽しみにしてたのに読後はやたらどんよりしてしまった。
しかしこの手の「自称平凡な主婦もの」はなんでこう研究職や編集者やアーティストや総合商社や、の特権階級人間ばかり登場するのか。平凡ちゃうやん、全然。